こんにちは管理人の「カニパパ」です^^
冬の味覚の王様として知られるタラバガニ。
その堂々たる姿と、ぎっしりと詰まった甘い身は、多くの食通を魅了してやみません。
しかし、いざ購入しようとすると、その値段に驚いてしまう方も少なくないのではないでしょうか。
「どうしてこんなに高いのだろう?」という純粋な疑問から、多くの方がタラバガニが高い理由を検索しています。
その背景には、単純な需要と供給のバランスだけでは語れない、国際的な社会情勢や資源問題、さらにはズワイガニとの違いといった、複雑な要因が絡み合っているのが現状です。
特に、主な輸入元であるロシアの情勢は価格に大きな影響を与えており、漁獲量の管理や養殖の難しさも高騰の一因となっています。
この記事では、なぜタラバガニの値段がこれほどまでに高騰しているのか、その根本的な原因を一つひとつ丁寧に解き明かしていきます。
アブラガニとの関係や、少しでも安く買う方法まで、専門的な視点から網羅的に解説いたします。
◆このサイトでわかる事◆
- タラバガニの価格が高騰する供給面の理由
- ロシアからの輸入が価格に与える影響
- 漁獲量の制限が値段にどう関係するのか
- 世界的な需要がタラバガニの価格を押し上げる仕組み
- ズワイガニなど他のカニとの価格の違い
- 価格高騰が今後どうなるかの見通し
- 高価なタラバガニを少しでも安く買う方法
供給面から見るタラバガニが高い理由
◆この章のポイント◆
- 厳しい漁獲量の制限と資源保護の動き
- ロシアからの輸入が激減している現状
- 技術的に難しいタラバガニの養殖
- ズワイガニとの値段の違いとそれぞれの特徴
- 燃料費も影響する社会情勢の変化
厳しい漁獲量の制限と資源保護の動き
タラバガニが高い理由を考える上で、まず避けて通れないのが、世界的に厳しくなっている漁獲量の制限です。
かつては豊富な資源と考えられていたタラバガニですが、乱獲によってその数が激減してしまいました。
このままでは資源が枯渇してしまうという危機感から、現在では国際的な取り決めに基づき、国ごとに漁獲可能量(TAC)が厳格に設定されています。
この漁獲枠は、科学的な資源調査の結果を基に毎年見直され、資源の回復状況によってはさらに厳しい制限が課されることも少なくありません。
日本も例外ではなく、アラスカやロシアといった主要な漁場での操業には、厳しいルールが設けられています。
漁獲量が制限されるということは、市場に出回るタラバガニの絶対量が減少することを意味します。
需要が変わらない、あるいは増加している中で供給量だけが減れば、価格が上昇するのは経済の基本的な原則と言えるでしょう。
また、資源保護のための取り組みは、漁獲量の制限だけにとどまりません。
甲羅の幅が小さい未成熟なカニや、産卵期のメスのカニの漁獲を禁止するなど、将来の資源を守るための細かな規制も設けられています。
これらの規制は、持続可能な漁業を実現するためには不可欠なものですが、短期的に見れば漁獲量をさらに押し下げる要因となります。
漁師たちは、限られた漁期と漁獲枠の中で、これらの規制を守りながら操業しなければなりません。
結果として、一度の漁で得られるタラバガニの量は限られ、その希少価値が価格に直接反映されることになるのです。
つまり、私たちが目にするタラバガニの高い価格は、未来の世代もこの美味しいカニを食べ続けられるようにするための、資源保護のコストも含まれていると考えることができます。
消費者がこの背景を理解することは、持続可能な水産資源の利用を支える上でも非常に重要であると言えるでしょう。
このように、資源保護という世界的な大きな流れが、タラバガニの供給量を絞り、価格を高騰させる根本的な要因の一つとなっているのです。
ロシアからの輸入が激減している現状
日本のタラバガニ市場を語る上で、ロシアの存在は極めて重要です。
なぜなら、日本で消費されるタラバガニの多くはロシアからの輸入に頼っているからです。
しかし、近年このロシアからの供給が不安定になっており、タラバガニが高い理由の大きな一角を占めるようになりました。
最も直接的な影響を与えているのが、国際的な社会情勢の変動です。
特に、ロシアによるウクライナ侵攻以降、日本を含む西側諸国はロシアに対して経済制裁を科しています。
これに対し、ロシアも対抗措置として水産物の輸出に規制をかけるなどの動きを見せており、両国間の貿易は以前のようにスムーズにはいかなくなっています。
これにより、タラバガニの輸入ルートが不安定になったり、輸入にかかるコストが増大したりしているのです。
また、ロシア国内の政策変更も影響しています。
ロシア政府は、自国内での水産加工を奨励し、付加価値を高めてから輸出する方針を強めています。
これは、単に原材料としてカニを輸出するのではなく、加工品として輸出することで、より多くの利益を国内にもたらそうという狙いがあるからです。
この政策の一環として、活ガニや未加工の冷凍ガニの輸出に高い関税をかけたり、輸出枠を制限したりする措置が取られています。
結果として、日本が従来のようにロシアから直接、高品質なタラバガニを大量に買い付けることが難しくなっているのです。
さらに、ロシア産のタラバガニを巡っては、中国や韓国といった他のアジア諸国との買い付け競争も激化しています。
経済成長著しいこれらの国々では、富裕層を中心に高級食材としてのカニの需要が年々高まっており、日本よりも高い価格で買い付けるケースも増えています。
供給量が限られる中で、こうした国際的な競争が価格をさらに押し上げる要因となっているわけです。
このように、地政学的なリスク、ロシアの国内政策、そして国際的な買い付け競争という複数の要因が絡み合い、日本へのタラバガニの供給を不安定にしています。
最大の供給源であったロシアからの輸入が滞ることは、日本の市場におけるタラバガニの希少性を高め、価格高騰に直結していると言えるでしょう。
技術的に難しいタラバガニの養殖
「これだけ価格が高騰しているなら、ウナギやマグロのように養殖すればよいのでは?」と考える方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、これがタラバガニが高い理由をさらに深刻にしている点であり、実はタラバガニの商業的な養殖は、現在の技術では極めて難しいのが現実です。
その理由は、タラバガニの特異な生態にあります。
低温で清浄な環境が必要
タラバガニは、非常に冷たく清浄な深海に生息する生き物です。
彼らが快適に生息できる水温は、わずか数度という極低温の世界になります。
このような環境を陸上の大規模な水槽で一年中安定して再現し、維持管理するには、莫大なエネルギーコストと高度な設備が必要となります。
水質の管理も非常にデリケートで、少しでも汚染が進むと病気になったり死んでしまったりするため、常に清浄な状態を保たなければなりません。
成長速度が非常に遅い
タラバガニの成長は、非常にゆっくりです。
卵から孵化して、市場に出荷できるような大きさ(甲羅の幅が15cm以上)になるまでには、自然界でおよそ8年から10年もの歳月がかかると言われています。
これを養殖で再現しようとすると、長期間にわたって餌代や施設の維持費といったコストがかかり続けることになります。
出荷できるまでの期間がこれだけ長いと、事業としての採算を合わせることが極めて困難になるのです。
生態に未解明な点が多い
タラバガニの繁殖や初期の生育段階については、まだ多くの謎が残されています。
どのような環境で産卵し、孵化した幼生がどのような餌を食べて成長していくのか、その詳細なプロセスは完全には解明されていません。
安定して種苗(養殖の元となる稚ガニ)を大量生産する技術が確立されていないことも、商業的な養殖を阻む大きな壁となっています。
これらの理由から、現時点ではタラバガニの完全養殖は商業ベースでは成功していません。
研究レベルでの試みは続けられていますが、安定供給につながるまでにはまだ長い時間が必要でしょう。
つまり、私たちが消費するタラバガニは、すべて天然資源に依存しているということです。
養殖による供給量の増加が見込めない以上、天然資源の減少や漁獲制限が直接的に市場価格に反映されてしまうのです。
この「天然ものしか存在しない」という事実が、タラバガニの希少価値を高め、価格を高止まりさせる決定的な要因の一つとなっています。
ズワイガニとの値段の違いとそれぞれの特徴
カニの話題になると、しばしばタラバガニと比較されるのがズワイガニです。
どちらも冬の味覚を代表する高級ガニですが、一般的にタラバガニの方が高値で取引される傾向にあります。
タラバガニが高い理由を理解するために、両者の違いを知ることは非常に参考になります。
まず、生物学的な分類から見ると、両者は全く異なる生き物です。
ズワイガニはクモガニ科に属するカニの仲間ですが、タラバガニはヤドカリの仲間に分類されます。
よく見ると、脚の数がズワイガニはハサミを含めて10本あるのに対し、タラバガニは8本しかありません(残り2本は甲羅の中に隠れていて非常に小さい)。
この違いが、味わいや食感にも影響を与えています。
- タラバガニ:脚が太く、身が肉厚で食べ応えがあります。食感はプリプリとしており、繊維質がしっかりしているのが特徴です。味わいは淡白で上品な甘みがあり、特に焼きガニやステーキにするとそのボリューム感と風味を存分に楽しめます。カニ味噌は量が少なく、食用にはあまり向きません。
- ズワイガニ:脚はタラバガニに比べて細長いですが、その分、身は繊細でジューシーです。甘みが強く、とろけるような食感が魅力です。カニしゃぶや刺身、茹でガニなど、繊細な味わいを楽しむ調理法に向いています。また、ズワイガニはカニ味噌が濃厚で美味なことでも知られており、甲羅焼きなども人気があります。
価格の違いが生まれる最も大きな理由は、やはり漁獲量と供給の安定性です。
ズワイガニも資源管理が行われていますが、日本近海を含む広い範囲で漁獲され、タラバガニに比べると供給量は比較的安定しています。
一方、タラバガニは前述の通り、漁場が限定され、ロシアからの輸入への依存度が高く、国際情勢の影響を受けやすいため、価格が変動しやすく高騰しがちです。
また、1杯あたりの可食部の量も価格に影響します。
タラバガニは体が大きく、特に脚に身がぎっしりと詰まっているため、1杯から取れる身の重量が多くなります。
この「食べ応え」や「ボリューム感」が、贈答用などでの高い需要につながり、価格を押し上げる一因にもなっています。
このように、ズワイガニとタラバガニは、それぞれ異なる魅力と特徴を持っています。
どちらが良いというわけではなく、用途や好みに応じて選ぶのが賢い選択と言えるでしょう。
しかし、供給の不安定さや希少性という観点から、市場ではタラバガニがより高級品として位置づけられており、それが価格差となって表れているのです。
燃料費も影響する社会情勢の変化
タラバガニが高い理由を考えるとき、カニそのものの問題だけでなく、漁業を取り巻く経済環境の変化、特に社会情勢の変動も無視できません。
その中でも、私たちの生活にも直結している「燃料費の高騰」は、漁業のコストを大きく押し上げ、最終的な販売価格に影響を与えています。
タラバガニ漁は、大型の漁船で長期間にわたって沖合で行われます。
漁場までの往復、漁の最中の操業、そして船内での冷凍・冷蔵設備の稼働など、漁船は大量の燃料を消費します。
近年、中東情勢の不安定化や世界的なエネルギー需要の増加、円安などの影響で原油価格は高い水準で推移しており、漁船が使用する燃料(A重油)の価格もそれに伴って高騰しています。
燃料費は、漁業経営における経費の大部分を占めるため、このコスト上昇は経営を直接圧迫します。
漁業会社や漁師たちは、この上昇分をどこかで吸収しなければなりませんが、その多くは最終的に水揚げされるカニの価格に転嫁せざるを得ません。
つまり、漁に出るためのコストそのものが上がっているため、タラバガニの価格も上がってしまうという構図です。
また、燃料費だけでなく、漁具や資材の価格、人件費なども世界的なインフレの影響を受けて上昇しています。
さらに、漁獲されたタラバガニが私たちの食卓に届くまでには、水揚げ後の陸送、冷凍倉庫での保管、加工、そして全国の市場や店舗への配送といった多くの物流プロセスを経ています。
これらの過程で使われるトラックや冷凍・冷蔵設備も当然ながら燃料や電気を大量に消費するため、エネルギー価格の上昇は物流コストの増大にも直結します。
このように、漁業から流通、販売に至るまでのサプライチェーン全体でコストが増加しており、それらが段階的に価格に上乗せされていくのです。
タラバガニが高い理由は、単に「希少だから」というだけでなく、それを獲り、運び、届けるために必要な経費そのものが、社会情勢の変化によって押し上げられているという側面も大きいのです。
世界経済の動向が、遠い北の海で獲れる一杯のカニの値段にまで影響を及ぼしていると考えると、グローバル化の現実を身近に感じられるのではないでしょうか。
世界的な需要から紐解くタラバガニが高い理由
◆この章のポイント◆
- 海外でのカニ需要の高騰と日本の買い負け
- なぜ高騰は続く?今後の価格の見通し
- 代替品アブラガニとの関係性とは
- 少しでも安く買う方法はある?
- 複合的なタラバガニが高い理由のまとめ
海外でのカニ需要の高騰と日本の買い負け
タラバガニが高い理由は、供給が減っているという国内だけの問題ではありません。
世界に目を向けると、日本以上にタラバガニを求める国が増えており、グローバルな需要の高まりが価格を押し上げる大きな要因となっています。
特に需要が著しく伸びているのが、中国とアメリカです。
中国では、近年の目覚ましい経済成長に伴い、富裕層や中間層が拡大しました。
彼らの間で、タラバガニは富や成功の象徴として、また、特別な日を祝うためのご馳走として絶大な人気を博しています。
特に、見た目が豪華で縁起が良いとされる大きなカニは、結婚式や旧正月などの祝宴に欠かせない食材となっており、非常に高い価格で取引されています。
アメリカでも、高級シーフードレストランやステーキハウスなどで、タラバガニの脚は人気のメニューです。
「キングクラブレッグ」として、その食べ応えと豪華さが多くの人々に支持されています。
こうした国々では、日本円に換算して日本市場よりもはるかに高い価格でタラバガニが消費されており、その購買力は非常に強力です。
この世界的な需要の高まりが引き起こしているのが、いわゆる「買い負け」という現象です。
タラバガニの主な産地であるロシアやアラスカの供給者から見れば、当然ながらより高く買ってくれる相手に売りたいと考えるのが自然です。
世界中のバイヤーが参加する国際的な市場において、中国やアメリカのバイヤーが提示する高い買値に、日本のバイヤーが太刀打ちできなくなるケースが増えているのです。
長引く日本の経済停滞や円安も、この買い負けに拍車をかけています。
同じ1ドルを支払うにしても、円安が進めば日本円での支払額は増加するため、輸入コストが上昇します。
これにより、日本の輸入業者は買い付けの際にますます不利な立場に置かれることになります。
かつては世界有数の水産物輸入大国であった日本ですが、今や世界的なシーフード争奪戦の中で、その地位は相対的に低下しつつあると言えるでしょう。
供給量が限られている中で、世界中の国々がその希少なタラバガニを奪い合っている。
このグローバルな競争が、日本の市場に入ってくるタラバガニの量を減らし、価格を直接的に押し上げているのです。
タラバガニが高い理由は、私たちの知らないところで繰り広げられている、熾烈な国際競争の結果でもあるのです。
なぜ高騰は続く?今後の価格の見通し
ここまでタラバガニが高い理由を供給面と需要面から見てきましたが、多くの方が気になるのは「この価格高騰はいつまで続くのか」ということでしょう。
残念ながら、専門家の間では、今後もタラバガニの価格は高水準で推移するか、あるいはさらに上昇する可能性が高いという見方が一般的です。
その理由は、これまで挙げてきた価格高騰の要因が、いずれも短期的に解決することが難しい構造的な問題をはらんでいるからです。
供給面の課題
- 資源量の問題:乱獲による資源の減少は深刻であり、回復には長い年月が必要です。今後も持続可能な漁業のため、厳しい漁獲制限は継続されると考えられます。供給量が劇的に増えることは期待できません。
- ロシア情勢:ロシアと西側諸国の対立は、すぐには解消されない見通しです。地政学的なリスクが続く限り、最大の供給源であるロシアからの輸入は不安定なままでしょう。
- 養殖技術:前述の通り、タラバガニの商業的養殖は技術的なハードルが非常に高く、実用化の目処は立っていません。
需要面の課題
- 世界的な需要:中国をはじめとする新興国の経済成長は今後も続くと予測され、世界的な高級シーフードの需要が減ることは考えにくいです。国際的な買い付け競争は、ますます激化する可能性があります。
- 円安の進行:日本の金融政策や経済状況を考えると、急激な円高に振れる可能性は低く、当面は円安基調が続くと見られています。これは輸入価格を押し上げる要因として継続します。
これらの要因を総合的に判断すると、タラバガニの価格がかつてのような手頃な水準に戻ることは、残念ながら考えにくいと言わざるを得ません。
むしろ、気候変動による海洋環境の変化がタラバガニの生息域に影響を及ぼすといった、新たな価格上昇リスクも懸念されています。
もちろん、一時的な豊漁や為替の変動によって、価格が多少上下することはあるでしょう。
しかし、長期的なトレンドとしては、タラバガニはますます「特別な日にしか食べられない高級食材」としての地位を確立していく可能性が高いです。
私たち消費者にできることは、このような背景を理解した上で、その価値を正しく認識し、購入する際は計画的に、そして大切に味わうことなのかもしれません。
今後の価格動向を注視しつつも、高値が続くという前提で、購入のタイミングや方法を工夫していく必要がありそうです。
代替品アブラガニとの関係性とは
タラバガニが高い理由が続くと、当然ながら「もう少し手頃な価格で似たようなカニはないか」という需要が生まれます。
そこで登場するのが、タラバガニの代替品として市場でよく見かける「アブラガニ」です。
アブラガニは、タラバガニと非常によく似た見た目をしており、同じヤドカリの仲間に分類されます。
そのため、専門家でなければ一見しただけでは見分けるのが難しいほどです。
しかし、両者にはいくつかの明確な違いがあり、それが価格の差にもつながっています。
アブラガニとタラバガニの見分け方
- 甲羅の突起:最も分かりやすい見分け方は、甲羅の中心部にある突起の数です。心臓の上あたりにある突起が、タラバガニは6つあるのに対し、アブラガニは4つしかありません。購入する際に確認できるのであれば、これが一番確実な方法です。
- 脚のトゲ:脚のトゲも異なります。タラバガニのトゲは鋭く尖っていますが、アブラガニのトゲは比較的丸みを帯びており、数も少ない傾向があります。
- 色味:茹でる前の状態では、タラバガニが全体的に暗い紫褐色なのに対し、アブラガニは少し青みがかった色をしていることから「ブルーキングクラブ」とも呼ばれます。茹でた後はどちらも鮮やかな赤色になりますが、アブラガニの方がやや色が薄いと言われています。
では、なぜアブラガニはタラバガニよりも安いのでしょうか。
その理由は、味わいの評価と漁獲量にあります。
一般的に、アブラガニはタラバガニに比べて身の甘みが少なく、やや水っぽい(大味)と評価されることが多いです。
また、茹でた後に身が少し縮みやすいという特徴もあります。
もちろん、アブラガニも十分に美味しいカニであることに間違いはありませんが、食味の評価ではタラバガニに一歩譲るというのが市場の一般的な見方です。
また、アブラガニの方がタラバガニよりも漁獲量が比較的多く、安定していることも価格が安い理由の一つです。
かつては、このアブラガニを「タラバガニ」と偽って販売する悪質な業者も存在しましたが、現在ではJAS法の改正により、正確な名称表示が義務付けられています。
しかし、非常に紛らわしい名前(例:「近縁種タラバガニ」など)で販売されているケースもあるため、消費者は注意が必要です。
アブラガニは、タラバガニの廉価版という位置づけを理解した上で購入するのであれば、コストを抑えてカニを楽しめる良い選択肢と言えます。
しかし、「本物のタラバガニ」の味を求めているのであれば、しっかりと名称を確認してから購入することが重要です。
少しでも安く買う方法はある?
タラバガニが高い理由を理解しても、やはり特別な日には美味しいタラバガニを食べたいと思うのが人情です。
価格高騰が続くなかでも、少しでも賢く、お得に購入するためのいくつかの方法が存在します。
最高級品を安く手に入れるのは難しいですが、工夫次第で出費を抑えることは可能です。
訳あり品を狙う
最も一般的な方法が、「訳あり品」や「わけあり品」として販売されている商品を選ぶことです。
これらは、輸送中に脚が一本折れてしまったものや、甲羅に傷がついてしまったもの、サイズが不揃いなものなどを集めて、通常よりも安い価格で販売している商品です。
見た目の問題だけで、味や品質は正規品と全く変わりません。
贈答用には向きませんが、ご家庭で楽しむ分には全く問題なく、最もコストパフォーマンスが高い選択肢と言えるでしょう。
特に脚の折れは頻繁に発生するため、多くの通販サイトや市場で取り扱いがあります。
ポーションタイプやフレーク品を選ぶ
姿のまま一杯買うとなると非常に高価ですが、必要な部分だけを購入することで価格を抑えることができます。
例えば、脚の身だけを取り出して冷凍した「ポーション」タイプは、殻を剥く手間が省け、料理にも使いやすいので人気があります。
また、脚の根元の部分(肩肉)や、加工の際に出る崩れ身を集めた「フレーク」は、チャーハンやサラダ、カニクリームコロッケなどの料理に活用するのに最適で、非常に安価に手に入ります。
通販サイトのセールやクーポンを活用する
年末年始などの需要期を避ければ、カニを取り扱う通販サイトでは在庫調整のためにセールを行うことがあります。
また、複数の業者が出店している大手の通販モールでは、価格競争が起きやすいため、実店舗よりも安く購入できる場合があります。
メールマガジンに登録したり、お気に入りのショップをフォローしたりして、セールの情報や割引クーポンを逃さないようにするのも賢い方法です。
産地に近い市場や直売所で購入する
もし北海道など、タラバガニが水揚げされる地域に行く機会があれば、現地の市場や漁協の直売所を訪れてみるのも良いでしょう。
中間マージンが省かれるため、都市部のデパートやスーパーマーケットで購入するよりも安く手に入る可能性があります。
ただし、交通費を考えると必ずしもお得とは言えないので、旅行などのついでに探してみるのが現実的です。
これらの方法を組み合わせることで、高嶺の花であるタラバガニも、少しは身近な存在になるかもしれません。
目的や用途に合わせて最適な購入方法を選び、賢く美味しいカニを楽しみましょう。
複合的なタラバガニが高い理由のまとめ
これまで見てきたように、タラバガニが高い理由は、単一の原因によるものではなく、複数の要因が複雑に絡み合った結果であることがお分かりいただけたかと思います。
改めて、その理由を整理してみましょう。
まず供給面では、地球規模での資源保護の動きが根底にあります。
乱獲による資源減少への対策として、国際的に厳しい漁獲量制限が課されており、市場に出回る絶対量が減っていることが最大の要因です。
また、ウナギやマグロと違って商業的な養殖が技術的に確立されていないため、供給量を増やす手段が天然資源の漁獲に限られていることも、その希少価値を高めています。
さらに、日本の食卓にとって大きな問題となっているのが、最大の輸入相手国であるロシアを巡る情勢です。
国際的な社会情勢の緊迫化により、ロシアからの輸入ルートは不安定になり、供給の先行きが見通せない状況が続いています。
これに加えて、漁業そのものにかかるコスト、特に原油高に伴う燃料費の高騰や、世界的なインフレによる資材費・人件費の上昇も、最終的な販売価格を押し上げる要因となっています。
一方で需要面に目を向けると、世界的なシーフード人気、特に中国やアメリカといった国々での需要が爆発的に増加しています。
これにより、限られたタラバガニを世界中のバイヤーが奪い合うという熾烈な競争が起きており、経済的に豊かな国の購買力に日本が「買い負け」する構図が生まれています。
長引く円安も、日本の輸入業者にとっては大きな逆風です。
ズワイガニなど他のカニと比較しても、タラバガニは大型で可食部が多いという特徴から、贈答用などの高い需要があり、高級品としての地位を確立しています。
これらの供給の減少、コストの増加、そして需要の増大という、価格を押し上げる要因ばかりが幾重にも重なっているのが現状なのです。
今後もこれらの問題が短期的に解決する見込みは薄く、残念ながらタラバガニの価格は高値で推移し続ける可能性が高いと考えられます。
私たちがこの美味しい冬の味覚を味わうとき、その一杯の裏には、こうした地球規模の環境問題や国際政治、経済の現実が隠されているのです。
本日のまとめ
- タラバガニが高い理由は単一ではなく複数の要因が絡み合っている
- 世界的な資源保護のため漁獲量が厳しく制限されている
- 主要な輸入元であるロシアの社会情勢が供給を不安定にしている
- タラバガニは生態が特殊で商業的な養殖が技術的に難しい
- 天然資源に100%依存しているため希少価値が非常に高い
- 中国やアメリカなど海外でのカニ需要が急増している
- 国際的な買い付け競争で日本が買い負けするケースが増えている
- 原油高による漁船の燃料費高騰がコストを押し上げている
- 円安が輸入価格をさらに上昇させる要因となっている
- ズワイガニとは生物学的に異なりヤドカリの仲間である
- ズワイガニに比べて供給が不安定なため価格が高くなりやすい
- 代替品としてアブラガニがあるが食味の評価は異なる
- 今後も価格は高値で推移する可能性が高いと予測される
- 安く買うには脚折れなどの訳あり品を狙うのが効果的
- 価格の背景には地球規模の環境や経済問題が存在する
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参考サイト
タラバガニとズワイガニと毛ガニで高いのは?高級なのにはワケがある? | 関心あること、悩みごと
魚の知恵袋「カニの価格高騰のわけ」 – 魚河岸ウォーカー – 築地魚群
高級なカニ缶の値段の違いを解説。タラバガニはズワイガニより高価なのは「質と原産地」が理由だった! | 三越伊勢丹の食メディア | FOODIE(フーディー)
カニの値段が高騰中 今まで安価だった種類も代替需要で価格上昇へ – TSURINEWS
カニはどうして高いの?安くかにを買う方法は?【冬の味覚】 – 匠本舗



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